◎短編 - ゆまっこの風

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◆星の、ひとかけらさえも

私たちはよく木に登った。人が聞けば笑うかもしれない。年頃の男女が深夜に何をしているかって木に登って下らない話をしながらお握りを頬張っているのだから。でもそれは私たちにしてみれば、とても大切な時間で今になって考えてみれば一番幸せな、時間だった。木の上で、揺れる葉っぱの隙間から見える星空の中に、流れ星を見つけて願ったのは「天下泰平」。必死に願う私の姿を見て、大事ですねって先生は嬉しそうに笑った。もしも...

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◆戯れ事

※「秘め事」http://yumanokaze426.blog.fc2.com/blog-entry-189.html?sp の沖田先生サイドのお話です。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※最初は、深い意味はなかった。ただ貴女の手が布団から出ていたから直してあげようと思ってそっと隣に寝ている貴女を起こさないようにその手を握ったらその柔らかさと暖かさにあの晩の事を思い出してしまったのだ。堪らず強く握りしめたら、寝ていたと思っていた貴女が此方を振り向いた。暗闇の中で目が合...

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◆秘め事

☆15禁くらいかな...?※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※私はいつからこんなになってしまったのだろう、と思う。勿論仕事中は今まで通り甘えるつもりもなく精一杯武士としての仕事を全うしているつもりだけれど。それでも彼の目にどう映っているのかは分からない。一度味わってしまった女子としての幸せは、忘れることなんて出来なくて。自分でも情けないなぁ、なんて思うのに。気が付いたら貴方に甘えている自分が、いる。今日もそうなるのでし...

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◆花かげ

ふ、と瞼の裏に思い浮かんだのは満開に咲き誇るたくさんの桜の木。ここはきっと貴女と最初に出会った市ヶ谷八幡。暖かだけれど少し強い春の風が吹いて、まるで貴女の頬のように淡い薄紅色をした花びらが舞い散っていく。桜吹雪の花かげの向こうに佇むのは、きっと。私の声に振り向く貴女はいつもの優しい笑顔。もう一度、一緒に見れたなら。いや。一度だけでなくて。あの桜の木の下で、何度も何度でも貴女と春を越していけたら。※※...

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◆風光る

☆風光る版ワンライ最終回お題「風光る」で書きました。とても短いです。すみません。※※※※※※※※※※※※※※※※※久しぶりに気持ちよく晴れたある日の午後。総司とセイが二人仲良く並んで縁側に座る、そんな何てことのない平凡な日常。さらりと流れた暖かい風が、セイを気持ち良さそうな笑顔にさせる。それを見た総司は、風が乱していったセイの前髪を優しく直してあげながらポツリと呟く。「風に、なりたいなぁ...。」まるで独り言のような...

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