◎短編

◆朱菊花

 ←浅草行って来ました!そしてお返事。 →たなばたさま☆そしてお返事
初期の作品「菊先」→http://yumanokaze426.blog.fc2.com/blog-entry-31.html?sp の続きです。
ただ単にいちゃいちゃな二人が書きたかっただけです...。
15禁くらい...?


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

しん、とした家の中に二人は「お邪魔します」と声を揃えて入っていく。
当たり前ながら奥から返事は返らず、二人は思わず顔を見合わせて笑った。
「そもそもここは神谷さんの家なんだから、お邪魔しますはないでしょう?」
総司が笑いながらそう言うと
「でもいつも言ってるから」
とセイもクスクスと笑いながら答えた。

部屋に上がったものの、どこに腰を落ち着けていいやら分からずに部屋の真ん中につったっていると、そういえば、と総司がセイの髪をそっと撫でた。
「貴女、この髪型どうするんですか?いつもお里さんに直してもらっていたんでしょう?」
「あ、はい。でも...一つに結い直すだけですしきっと自分でも...」
できますよ、というセイの言葉を遮るように総司が大きな声を出した。
「泊まっちゃいましょうか!」
「...え?」
「いや、だってお里さん明日の朝まで帰ってこないんでしょう?どうせ一番隊は明日は昼からの勤務だし、今日はお里さんの好意に甘えてゆっくりさせてもらいましょう。」
総司は早口で自分に言い聞かせるように、うんうん、と頷くとセイの返事も聞かずに「二人分の外泊届け出してきますね」と家を飛び出して行ってしまった。
「え、ちょっと、先生...」
セイの呼び止める声などとっくに聞こえる場所にはおらず一人取り残された部屋でセイは呆然と立ち尽くす。
二人分の外泊届け...
総司も一緒にここに泊まるということだろうか。
流れとしてはそうとしか考えられない。
あの野暮天男の事だし深く考えずに行動に走ったのだろうけれど。

それでも思い出すのは先程の花火の最中の総司の表情。
今まで見たことがないような男の人の顔をしていて、
吸い寄せられるように

唇を重ねてしまったー。


そこまで思い出してセイは火がついたように顔を赤くする。
どうしよう、どうしよう、と両手で顔を覆いながらそっと自分の唇を撫でてみる。

ちゃんと歯を磨いとけば良かった、だとか唇はカサカサじゃなかったかな、とか口付けの前に飴細工だとか甘いものばかり食べていたけどべたべたしてなかったかな、とか色んな思いが巡る中。

初めて触れた総司の唇の感触を思い出すと甘い甘いため息が止まらなかった。


屯所まで走るように戻った総司は直接土方の所へ行くと色々と詮索されて面倒だなと思い、走り書きで外泊届けを二枚書くと屯所の外にいた門番に「副長に渡してください」と手渡した。

そのまま逃げるようにセイの待つ家へ向かう途中総司もまた、先程の花火の中で輝いていたセイの横顔を思い出す。
あんなに綺麗な女子は今まで見たことがなくて、殆ど無意識に唇を奪ってしまった。

柔らかくて暖かなその唇は勿論だけれど、唇を離した後のセイの表情は堪らなく愛しく見えて離れがたくて
つい、『泊まっちゃいましょうか』なんて口走ってしまったけれど。

きっとセイを目の前にして自分の理性なんて保つことは出来ないのは総司自身が一番よく分かっていた。



総司が家に戻るとセイが汗だくになって風呂の湯を沸かしていた。
「あ、先生おかえりなさい。あの、外泊届け受け取ってもらえましたか...?」
セイの不安そうな声に総司はにっこりと頷く。
「大丈夫ですよ。それより貴女お風呂沸かしてくれていたんですか?」
「はい。お里さんが私たちの着替えまで用意してくれていたみたいで。お風呂も少したいておいてくれたようなのですぐに温まりますから先生どうぞ。」
「いえ、貴女汗すごいじゃないですか。先に入ってらっしゃい。」
セイは総司の優しさを、そういうわけにはいきません、と頑なに断るとお里が何処から調達してきたのか綺麗に揃えておいてくれた男物の浴衣と手拭いを総司に押し付けた。
仕方なく総司が先に湯を浴びて部屋に戻るとセイが縁側に冷たい酒を用意してくれていて
「このお酒。私が泊まりに来るときにお里さんと二人でちびちび呑んでたんです。よかったら先生も。」
そう微笑むと、私もお風呂頂いてきます、とパタパタ走っていった。
「あ、神谷さん!」
「はい?」
総司は風呂場へ向かうセイを呼び止めると
「あの...」
何か言いにくそうに口ごもる。
「何ですか?」
「その...。髪型。とても似合っているのでお風呂で崩さないでくださいね。」
「!!」
総司の言葉にセイは顔を赤らめると、はい、と小さな声で返事をした。


セイも風呂から上がると総司の隣に腰かけて一緒に酒を呑み始める。
「お祭り楽しかったですね。」
どこか気まずい空気を立ちきりたくてセイが口を開く。
「そうですね。次は正坊も一緒に行けるといいですね。」
総司の言葉にセイはにこりと微笑んだ。
「...」
「...」
嫌な沈黙ではないものの、何だか落ち着かなくてセイが、お酒を取ってきます、と徳利を持って立ち上がろうとすると
「あ、私が行きますよ。」
同時に徳利を掴んだ総司の手に触れてしまい思わずパッと手を引いてしまった。
「あ...ごめんなさい...」
二人して真っ赤な顔をして俯いていると意を決した総司がセイの逃げた手をそっと握る。
「!」
セイが驚いて総司の顔を見るとそこには先程の花火の時に見たあの知らない男の人がいて、セイの胸がドクンと大きな音を立てた。
「...神谷さん...」
「は、はい...」
返事をするだけなのに何だか声が裏返ってしまってセイは情けなくて涙が出そうになる。
総司は繋いだ手にぎゅっと力を込めると
「あの...もう一度....しても、いいですか...?」
「え...なに...を...」
セイは総司の言葉の真意を汲み取れなくて首を傾げるが、直ぐにその意図を理解すると首まで真っ赤にさせながら小さく頷いた。
総司はずい、と一歩セイに近付くとそっと掌でセイの頬を包み、唇を寄せる。
そして、そっと唇を重ねた。

唇を少し離しては、また触れて、触れる度にその時間は長くなっていく。
何度も何度も唇を重ねていると無意識のうちにもっと奥深くまでセイの中を知りたくなってきて総司はセイの少し開いた唇の隙間から舌を差し入れた。
「!!」
漸く身体の強ばりが抜けてきたセイの全身が一気にまた固くなる。
思わず慌てて総司は唇を離すと
「か、神谷さん、ごめんなさい...嫌、でした...?」
泣きそうな顔でセイの顔を覗きこむ。
セイも負けず劣らず泣きそうな顔をしながら必死に首を横に振った。
「ち、ちが...!あの、嫌、なんかでは...。」
我慢できずにセイの瞳からホロリと涙が落ちる。
「本当に..?」
総司はセイの涙を指で拭いながら不安そうに問いかける。
セイは小さく頷くと
「...少し、驚いただけです...。私..私、先生になら何をされたって...」
そこまで言うとまた一つ、瞳から涙が落ちた。
セイの言葉に総司の胸が甘く痛む。
こんな気持ちになるのは初めてで、セイの事が愛しくて愛しくて堪らない。
総司はそんな気持ちを伝える術が分からなくてセイの身体を引き寄せ、ぎゅっと抱き締めるといつもは前髪で隠れているその額に柔らかな口付けを落とした。
「...お酒、取ってきますね。」
総司はそう言うとすっと立ち上がり台所へ向かう。

幸せで、幸せすぎて泣きそうなこの気持ちがとても愛しい。
きっと二人が出会わなければ、こんな気持ちにはずっと、一生気付くことはなかったのではないだろうか。


総司が酒を持って部屋に戻るとセイがぼんやり暗くなった空を見つめていた。
その小さな背中を自分のものにしたくて総司は酒を少し離れた場所に置くと、セイを後ろから抱き締めるように身体を包み込んで腰かける。
「あ、先生..驚いた..。」
ぎゅっと抱き締めるとその小さな暖かな身体は簡単に自分の腕の中にすっぽりと収まってしまう。
鎖帷子も着けておらず女物の着物を着ているセイの身体はいつも抱き締めているときよりも柔らかで触っていると心地好い。
セイの腰に回した手をそろそろと上へと移動させていく総司。
帯の上のその一段と柔らかな感触がしそうな場所に掌が登って来たとき、
「...触っても、いいですか...?」
一瞬手を止めた総司がセイの耳元で問いかけた。
セイはその仕草に、言葉に耳の先から爪先まで真っ赤に染め上げると
「い、いちいち聞かないで下さい!!先生は男の方なんですから、どーんと...!」
そう、早口で捲し立てた。
あまりの剣幕に呆気にとられたのか総司は瞳をパチパチさせながらセイを見つめている。
その顔を見てセイは、もうやだ、と呟くとしゅん、と肩を竦めた。

こんなこと言うつもり全くなかったのに。
恥ずかしさのあまり、強い口調になってしまった。
おまけに自分でも何を言っているのか分からない。
なんでこんなに自分は可愛げがないのだろう。

そんな事を考えながらまたセイが泣きそうになっていると
「神谷さんはやっぱり男前ですねぇ!」
総司がカラカラと笑いながらセイの頭を撫でた。
笑ってくれたことに少しホッとしながらもまだ落ち込んだままのセイを見て総司はセイの頬を両手で包み込んで自分の方に向けさせる。
「でも、やっぱりとても可愛いひとですね。」
総司はそう言って微笑むとセイの唇にひとつ、口付けを落とした。
「か、可愛くなんて、ないです...」
セイの言葉に総司は、ふふ、と笑う。
「誰がなんと言おうと、私にとって貴女は日の本一、可愛い女子なんです。」
総司の言葉にセイは未だ口を尖らせながらも素直に、ありがとうございます、と呟く。
総司は満足そうに微笑むともう一度セイの唇を奪った。
今度はセイの身体がびくりと跳ねようと構わずにセイの口内に遠慮なく舌を差し入れていく。
お互いぎこちなく動く舌を絡めながら息苦しさも忘れて口付けを交わしていると、セイの頬を支えていた総司の掌がゆっくりと下がり、着物の上から先程到達出来なかった柔らかな部分に触れた。
セイは少し身を固めるが逃げることはせずに総司を受け入れる。
総司はじっくりと、柔らかな膨らみを確かめながら少しずつ着物の襟元から掌を侵入させていく。
直にその膨らみに触れるとじっとりと汗ばんだセイの肌がまるで自分の掌に吸い付くような感覚を覚えた。

はぁ、と大きく息をつきながら二人の唇が離れる。
じっと困ったような顔で見つめ合っていると総司が突然、
「ああ、もうどうしよう!」
と頭を抱え始めた。
「せ、先生..?どうされたんですか?」
驚いたセイは少し乱れた着物の胸元を押さえながら総司の顔を覗きこむ。
総司は真っ赤な顔をしてちら、とセイを上目遣いで見上げると勢いよくセイを自分の胸に引き寄せ
「...ねえ、神谷さん...これ以上...しても、いいですか...?」
熱い吐息と共に耳元で問いかけた。
セイの体温が一気に上昇する。
なんて答えていいか分からずにセイが黙っていると、総司が、そうだ、と突然明るい声を出した。
「そうだ。聞いちゃいけなかったんですよね。ここは、男らしく。」
総司はよし、と頷くとセイをふわりと抱き上げ部屋の奥へと連れていく。
「きゃ、先生、な、なに!?」
総司の腕の中でセイが落ちないように必死にしがみついているとストン、と部屋の真ん中に敷かれていた布団に降ろされた。
「....」
「....」
嫌なら今のうちに逃げて、と言わんばかりに総司はセイの上にのし掛かりながらじっと見つめる。
セイはその熱い視線を受けながら、覚悟を決めるとぐっと総司の頭に腕を回し自分の方に引き寄せるとちゅ、と唇に口付けを送った。
「神谷さん...」
総司がホッとしたように少し微笑む。
セイもそれに応えるようにでも少し困ったように、にこりと微笑んだ。

二人の唇がもう一度重なる。
先程までの遠慮なんて忘れたかのようにまさに理性の糸が切れた総司はセイの度々発する、ちょっと待って、という声も殆ど聞かずにセイの身体を夜明けまで堪能し続けた。



白々と外が明るくなってきて総司の腕の中で目覚めたセイはまだ気持ち良さそうに寝息を立てている愛しい人の頬をそっと撫でる。
昨日から初めての事ばかりで、あまりの展開に訳も分からずに総司に翻弄され続けてしまったけれど。
心も身体も満たされるってこういうことをいうのだろうか。

「神谷さん...」
未だ夢の中でもセイを抱いているのだろうか。
むにゃむにゃとセイの名を呼びながらセイを抱き締める力をぎゅっと込める総司。
セイはその仕草にクスリと微笑むと総司の背中に腕をまわしてぎゅっと抱き返す。
「先生、愛しています..。」
セイは小さく囁くとそっと総司の唇に口付けを落としてもう一度瞳を閉じた。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
♥️あとがき♥️

おうちデートしてほしくて書きました笑
書くに当たって「菊先」読み返したんですがやだもー!恥ずかしい(>_<)
決して今の文章が上手、とかではないんですけど今にも増して稚拙な文章...
あえて直しませんけどね。そんな黒歴史?も含めてこのブログなのです。。
久しぶりの二次創作でした(*^^*)ラブラブいちゃいちゃな二人は今の本誌では考えられないけれど、やはり書いていてとても楽しいものです。
ちなみに「赤い菊」の花言葉は「あなたを愛しています」。
早くおうちデートしてくれー(T^T)
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No title

お久しぶりです。
諸々忙しくご無沙汰してました~。毎日本当に暑いですね。夏が来るたび。こんなに暑かったっけと思うんですよね・・・・

久々にラブラブな二人を堪能しました!
いいですね~。本誌でも元気なうちにこんなラブが見たかった(泣)
なんだかいちいち聞く辺りが、何気に焦らし上手な総司ですね。無意識だと思いますけど(笑)
照れて素直になれないセイちゃんも可愛かったです(#^.^#)
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