FC2ブログ

◆鬼神

◆鬼神 二

 ←お久しぶり?そしてお返事。 →家にそうじろうくんが来た。そしてお返事。
夢と現実の狭間のようなところでウトウトと一晩を越した総司は寝不足の為か変に冴える頭を抱えながら副長室へ向かう。
その途中廊下で山南に会い、少し話がしたい、と呼び止められた。

「総司。神谷くんと一緒に観た狂言の内容は覚えているかい?」
山南の部屋に入るとそんなことを聞かれて総司はあからさまに顔をしかめる。
そんなことが今セイのいなくなった事に関係があるようには到底思えなかったからだ。
覚えていません、とぶっきらぼうに答える総司の気持ちを察した山南は
「いやね、それが気になる事があるんだ。」
と一冊の本を総司に差し出した。
「なんですか?」
パラパラと渡された本をめくりながら総司が怪訝そうな顔をする。
山南は大きな溜め息を吐くと、腕を組み神妙な顔つきで話始めた。
「昨日の手紙の差出人に『童子』と書いてあっただろう?それはこの『酒呑童子』ではないかと思うんだ。」
「酒呑童子?」
総司は山南に指差された箇所を目で追う。
短時間に目を通しただけではよく内容が理解できないが、何かの物語なのだろうか。
「これは壬生狂言の演目の一つ『大江山』の話なんだ。」
『大江山』という言葉に総司の身体が固まる。
昨日の手紙の地図に示されていた場所が大江山だったからだ。
「簡単に説明すると『大江山』には鬼が棲んでいて山を降りては村の若い女子を連れていき働かせたり食べたりしている、という内容なんだが『大江山』と『童子』二つの言葉が出てきている以上、今回の事と無関係とは考えにくいとは思わないか?。」
「...そうですね。」
総司は手に持った本をぎゅっと握りしめる。
理由は分からないけれど、犯人がその『大江山』の内容を模倣しているのだとしたらセイや、あの女子の命も危険なのかもしれない。
一刻も早く、助けなければー。

総司が顔を強ばらせたまま部屋を出ようとすると山南が腕を掴んだ。
「総司、おまえ縁談を断ったらしいな。」
「はい...。私は神谷さん意外と一緒になることなんて考えられませんから。」
きっぱりとそう言い切る総司に山南の顔が少しだけ和らぐ。
しかしすぐに厳しい顔付きに戻ると
「神谷くんと二人の時をその縁談の相手に見られた、ということは?」
「...あります。けれど、それが関係があるのですか?」
早くセイを助けに行きたくてあからさまにイライラしている総司を宥めるように山南はゆっくりと、落ち着いた声を出す。
「もしかしたら、犯人は総司と神谷くんの関係に気付いて君たちの仲を引き裂こうとしたのかもしれない。」
「え?」
「『大江山』には、鬼たちは最初は比叡山に棲んでいて、京の民に騙されて居場所を追われてしまい大江山に移り住んだ、という話もあるんだ。その仕返しに人間を襲うようになった、というね。」
総司は首を傾げながら山南の言葉の意味を理解しようと一生懸命に頭を働かせる。
居場所を追われてー。
要するに『酒呑童子』という鬼が縁談相手の事で、破断されたことで居場所がなくなった彼女がセイを襲った、ということだろうか。
「...その縁談の相手が私と神谷さんの関係に気付いてそれで縁談が破談された仕返しに神谷さんを連れ去った、ということですか?」
総司の言葉に山南が頷く。
総司は狂言を見終わった後に壬生寺で出会った女子のことを思い出す。

『うちはお芝居大好きなんどす』

そう言いながら笑っていた彼女。
それならば『大江山』の内容を十分に理解していてもおかしくはない。
それにあの付き人の嫌な目線。
明らかに自分とセイの様子を怪しんでいるように見えた。
「...分かりました。その事も念頭に入れて、行ってきます。」
親切に教えてくれた山南に少しだけ笑顔を見せて、総司は部屋を出ていく。

犯人が、あの女子たちー?

どこか府に落ちるような、納得できないような、消化できない気持ちを胸に総司は副長室へと急いだ。


副長室に入ると土方と近藤の他にあまり見慣れない隊士が座っていた。
「総司。彼は藤田という。三月ほど前に入隊したばかりだが中々腕は立つぞ。」
近藤が藤田という男の肩をポン、と叩きながら笑う。
男は恥ずかしそうに笑うと一歩前へ出て総司に深々と頭を下げる。
「藤田と申します。この度は大江山までご一緒させていただきますので道中宜しくお願い致します。」
「え、彼と一緒に、ですか?文には私一人で、と書いてあったではないですか。」
総司が不満そうな声を出すと土方が厳しい口調で説明する。
「藤田は大江山の近く、福知山の出身だ。道案内を含めて同行してもらう。」
文に『一人で』と記してある以上、その約束を破っては相手の怒りを誘うのではないか、と思いあまり納得できなかったがここで断れば『ならば行くな』ということになりかねない。
総司は渋々同行を認めることにした。
「分かりました。藤田さん、道案内を宜しくお願いします。では、早速出発しますね。」
「まて。あと山崎ともう一人隊士を後からつけさせる。屯所から大江山まで二泊あれば行けるだろう。その間決めた宿に泊まり山崎たちと連絡を取り合うこと。いいな。」
自分が信用されていないのか、はたまた大事にされすぎているのか。
一人で行くつもりだった総司は面倒くさそうに溜め息を吐くと、承知、と返事をする。
後から来た山崎と一通り道順や宿の相談を済ませ、部屋を後にした総司と藤田は準備を済ませ次第屯所を出発することとなった。




※※※※※※※※※※※※※※※※
二話更新だいぶ間が空いてしまいまして申し訳ありませんでした(>_<)その上短い、という。。前の話も忘れちゃいましたよね、スミマセン(´д`|||)
ご無沙汰している間にも過去作品や雑記にポチポチしてくださった方、ありがとうございました!
お返事次回に書かせていただきますね。本格的に寒くなってきましたね。皆様体調気をつけてお過ごし下さい。
関連記事
スポンサーサイト
もくじ  3kaku_s_L.png ☆桜の時
もくじ  3kaku_s_L.png  ★白南風
もくじ  3kaku_s_L.png ◆『恋情』
もくじ  3kaku_s_L.png ◆青い春
もくじ  3kaku_s_L.png ◆黒煙
もくじ  3kaku_s_L.png ◆鬼の棲処
もくじ  3kaku_s_L.png ◆零れる花
もくじ  3kaku_s_L.png ☆つぐない
もくじ  3kaku_s_L.png ★雫
もくじ  3kaku_s_L.png ☆風の彩
もくじ  3kaku_s_L.png ◆黄昏月
もくじ  3kaku_s_L.png ◆鬼神
もくじ  3kaku_s_L.png ★☆落花流水
もくじ  3kaku_s_L.png ◆溜め息
もくじ  3kaku_s_L.png ★向日葵
もくじ  3kaku_s_L.png 閨(R18)
もくじ  3kaku_s_L.png ◎短編
もくじ  3kaku_s_L.png ❤宝物❤
もくじ  3kaku_s_L.png 風光るについて
もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組について
もくじ  3kaku_s_L.png リンクについて
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【お久しぶり?そしてお返事。】へ
  • 【家にそうじろうくんが来た。そしてお返事。】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【お久しぶり?そしてお返事。】へ
  • 【家にそうじろうくんが来た。そしてお返事。】へ