ゆまっこの風

flowers連載中の「風光る」の二次小説と日記です。

◆溜め息

◆溜め息



「神谷さんたら、何をさっきから溜め息ばかりついているのですか?」
此処は新撰組屯所である京都、西本願寺。
スッキリとした気持ちの良い青空とは裏腹に、セイの心はもやもやと沈んでいた。
そしてその姿を一番見られたくなかった相手である総司に見られてしまい、セイはまた一つ、ふぅと溜め息を吐く。
「何か悩みごとですか?」
セイの気持ちなど何も分からない野暮天大王の総司は当たり前のようにセイの横に腰かけると両手に持っていた饅頭を、はい、とセイに一つ手渡した。
セイは小さく礼の言葉を呟くと、貰った饅頭を食べるわけでもなく指で弄びながら総司の顔をちら、と見る。
「なんですか?」
モグモグと饅頭を口一杯に頬張りながら総司が首を傾げる。
「いえ・・・」
セイがまた溜め息をついたのが気に入らなかったのか、
「お饅頭、食べないなら返してください。」
総司は未だセイの手の中で転がされていた饅頭をひょい、と取り上げた。
「あっ!食べますってば!」
セイは慌てて饅頭を取り返すとパクリと一口で口に放り込む。
甘くて柔らかな餡が口一杯に広がって、少しだけセイの心の中も晴れたような気がした。
「美味しい」
ポツリと呟いたセイの言葉に総司は嬉しそうに微笑む。
「そうでしょう!最近新しく祇園に出来たお店なんですよ。今から一緒に行きませんか?」
セイの返事など聞かずに半ば無理やり手を繋いで引っ張る総司。
いつもなら最初は嫌がっていても、すぐに笑顔で自分についてきてくれるセイが、今日は違った。
「私は、今日は・・」
セイは総司の手を振り払うように放すと自身の胸の前でぎゅっと拳を作る。
まるで何か言いたいことを、その掌の中に押し込めるかのように。
そんなセイの様子に今度は総司が小さく溜め息を吐いた。
「・・どうしたんですか?」
総司はセイの顔を覗きこむように向き直るとポン、と頭の上に優しく掌を乗せる。
両手で膝を抱えながら、セイは今にも溢れてしまいそうな涙を堪えるために空を見上げた。
自分の気持ちとは正反対の青空が眩しくてセイは反射的に目を細める。その拍子に涙が溢れ落ちそうになって慌てて首を振った。
「・・本当に、何でもないんです。・・あの、少しだけ気分が優れなくて・・・。」
空を見上げたままセイはにこりと微笑む。
こうやって、だんだんと嘘が上手になっていくのだな、と思うと胸がぎゅう、と痛んだ。
「・・そうですか・・」
総司は少し寂しそうに笑うと、もう一度セイの頭をポンと優しく撫で、立ち上がる。
そして、
「お土産買ってきますね。」
そう言い残してその場を後にした。

総司が去った後もセイは空を見上げ続ける。
もう誰も見ていないのにさっき作ったわざとらしい笑顔はそのままで、瞳からは我慢していた涙がポトリと溢れた。


※※

セイの溜め息の理由は勿論、総司にある。
今までも総司への恋心に気付いてからは幾度となく悩まされてきたし涙も流してきていた。
しかし今回ばかりはどうしようもないほどセイの胸は痛んでいた。

つい昨日の事。
土方に使いを頼まれたセイは黒谷からの帰り道、祇園辺りで総司の姿を見かけた。
そういえば一番隊は今日の午後は非番だったはず。
どうせ総司のことだから何処かまた甘味屋巡りでも行くのだろう、と、この後特に用事がなかったセイは自分も連れていってもらおうと思い総司に声をかけようと右手を振り上げた。
「沖田せん・・・」
セイは出しかけた大きな声を慌てて引っ込める。
何故なら総司は一人ではなかったから。
隣には、綺麗な着物を身に纏った女子が一緒に歩いていたから。

誰ー?

後ろ姿しか見えないその女子と総司はとても仲が良さそうに見えた。
何やら耳元でこしょこしょと内緒話をしてはクスクスと笑い合っている。
一度振り上げたままの右手を下げることも忘れてセイは二人の行方を目で追ってしまう。
すると。
二人は仲良く身体を寄せ合いながら小さな盆屋へと消えていったのだ。

「え・・・」

思わずセイから声がもれる。
信じられない光景に思考も止まってしまい、どうしていいのか分からないままにセイは歩き始めた。
何処へ向かっているのかさえも分からなかったけれど、きっと屯所へ向かっているのだろう。
だって自分には帰る場所はあそこしかないのだから。
例え会いたくない人がいたって、そこへ帰らなければいけないのだから。

フラフラと屯所へ戻ったセイは人通りが少ない廊下にへたりと座り込む。
皮肉にもその場所はよく総司と二人で過ごしていた場所だと気付くと何だか笑えてきてしまった。

一人で呆れたように笑いながらセイは、そうかそうか、と頷く。

沖田先生にも恋人が出来たんだ。
見たところいい家のお嬢さんみたいだった。
花街の人よりかはずっと沖田先生にはお似合いだと思う。
沖田先生だっていい年頃の男の人なんだし、ああいう処へ行ったってなんの不思議もない。
むしろ大人の付き合いが出来てるなんてすごいことじゃない。
あの調子なら野暮天具合も少しはよくなるかもしれない。
はは、と渇いた笑いが気付くと震えていて、涙声に変わっていく。

仕方がないじゃない。
女子としてではなくて武士として沖田先生のお傍にいるって決めたのは、紛れもない、私自身なのだからー。


※※

夕方両手一杯に菓子を抱えて帰って来た総司は一目散にセイの居室である近藤の部屋へ向かった。
既に近藤は妾宅へ帰ったのか広い部屋の中にはポツンとセイだけが座っていた。
「神谷さん、具合はどうですか?」
先程『気分が優れなくて』と言った言葉を素直に信じていたのだろう。
心配そうにセイを覗きこむ表情からは嫌なものはひとつも感じられなくて思わずクスリと笑ってしまった。
「ああ、良かった。少しは元気になったみたいで。」
セイの少しの笑顔にホッとした総司は、にこりと笑うと包みの中から一つずつ菓子を取り出して畳の上に並べていく。
これが一番人気で、これが今の季節の限定品で、と得意気に説明しはじめる総司にセイは呆れたような溜め息を吐く。
「先生、もしかして全種類買ってこられたんですか?」
セイの言葉に総司は満面の笑みを浮かべる。
そして大きく頷くと
「あ、そうだ。一つだけ売り切れだったのでそれ以外。」
と残念そうに肩を落とした。
「また三日後には入るそうですから、その時は神谷さん、一緒に買いに行きませんか?」
大好きな総司の笑顔を見るのが今日はこんなにも辛い。
こんなに切ない想いをするのならば、恋なんて知らなければよかった。
「・・他に連れて行きたい方がいるのではないですか?」
セイは大雑把に並べられた菓子を一つ一つ見つめながら小さく呟く。
「え?」
並べられた一番手前の菓子を摘まみながら総司がきょとんとした顔で聞き返した。
「・・あの、私偶然見かけてしまって。昨日、祇園で先生と、その綺麗な着物を着た方が歩いているところを。」
「えっ!本当に?」
明らかに動揺している総司の様子にセイはぐっと唇を結ぶ。
そして溢れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら最近では上手になってしまった偽りの笑顔を絞り出した。
「わ、私に気を使わずにその方と行っていいんですよ?大事な方なんでしょう?」
必死に紡いだセイの言葉も聞かずに総司は一人、わたわたと焦っている。
その姿をこれ以上見ていたくなくてセイが部屋を出よう、と腰をあげようとした時。
「絶対に秘密ですよ?」
グイ、とセイの腕を引っ張った総司が口許に人差し指を当てて、内緒、という仕草を見せた。
ポトリと落ちた涙を見られたくなくてセイはそっぽを向いたまま、はい、と返事をする。
すると総司は安心したように大きな溜め息を吐くと
「ああー。もう。神谷さんだけには見られたくなかったのになぁ。」
と天井を仰いだ。
その言葉に何となくムッとしたセイは総司を思わずキッと睨み付ける。
「何故ですか。私がお喋りだとでも仰りたいんですか。」
刺々しいセイの口調に総司は慌てて手と首を横に振る。
「いえいえ。そういう訳ではないんですが。私は別にいいんですけどね、藤堂さんが・・」
「・・藤堂、先生?」
「そうですよー!絶対誰にも見られたくないって言ってたし特に貴女にはって言ってたので。」
あはは、と笑いながら総司はセイの頭を撫でる。
セイは総司の言っている意味が分からずに首を傾げる。
「・・何故藤堂先生が出てくるのですか?あの女の人と関係があるのですか?」
セイが怪訝な顔をして問いかけると総司がハッとして自分の口許を押さえた。
「えっあれ?神谷さん、あの、気付いてないんですか?」
「だから何のお話ですか?・・え、あれ、もしかして・・?」
セイは昨日の総司の隣に歩いていた女子を必死に思い出す。
見たのは後ろ姿だけ。
綺麗に髪を結ってあって美しい色の着物を着ていた。
背丈は沖田先生よりも少し小さくて・・でも自分よりは少し大きかっただろうか。
「・・もしかして、あの女子って・・」
セイが眉間にシワを寄せながら総司に詰め寄る。
「そうですよ!藤堂さんですよ!とある特命があってその相手が祇園の盆屋に出入りしているって聞いたんで男一人で乗り込む訳にもいかないから嫌がる藤堂さんを無理やりあんな姿にしたんです!藤堂さん本気で傷付いているんですから絶対に本人にも言わないでくださいよっ!」
総司の説明を信じられない気持ちで聞きながらセイは瞳をパチパチさせる。
「と、藤堂先生だったんだ・・」
ホッとした気持ちと藤堂の女子姿を想像して笑いが込み上げてくる。
「あ、神谷さん、笑ったら可哀想ですよぅ。藤堂さんは貴女の代わりにあんな格好させられたんですからね。」
「え?私の代わりに、ですか?」
「そうですよ。最初は土方さん、貴女に女子姿をさせて私と現場に行かせようとしていたんですから。」
「・・別に私は構わなかったのに。」
頼られて嬉しくないはずがない。総司のことだから、また危ない目に合わせるから、と心配して反対したのだろうけれど。
「駄目ですよ。貴女は屯所で大人しくしていてください。」
「ひどい!私だって特命くらい出来ます!」
ぷぅと膨らむセイの柔らかい頬を総司は優しく撫でる。
そして困ったような笑顔でセイを見つめると、小さく首を横に振った。
「・・沖田、せんせい・・?」
いつもと何処か違う、柔らかで優しい触れ方にセイの胸がトクンと高鳴る。
総司は暫くじっとセイの瞳を見つめていたが、急に顔をしかめると触れていた両頬をくいっとつまんだ。
「だぁめ。神谷さん、すぐに無茶するでしょう?」
頼まれてもないことをやったりするし、あの時もそうだった、と過去のセイのお節介な仕事ぶりを棚にあげはじめる総司。
「もうそんな事しませんってばぁ。」
離してください、とセイは真っ赤な顔をしながら総司の腕を掴む。
総司はそのセイの仕草に、あはは、と笑いながら、離しません、と小さな声で囁くとセイの小さな身体を抱き寄せた。
「・・せんせい・・?」
セイの体温が上がる。
でもそれ以上に総司の身体の熱の方が高くなっている気がした。

本当は、ただセイの女子姿を誰にも見せたくなかっただけ。
女子のセイは自分だけのものにしておきたくて。
それに、そんな可愛らしい格好をしたセイと仕事とはいえ、二人きりで盆屋へ入るなんて。

理性を保てる気がしなかったから。


セイの耳元で総司がふぅと大きな溜め息を吐く。
「・・今度は沖田先生の方が溜め息ついてる。」
セイがボソッと呟くと総司がクスリと笑った。
「いいんですよ。これは、良い溜め息だから。」
「溜め息に良いも悪いもあるのですか?」
「ありますとも。」



そう。
その時は知らなかった。
ただ、また貴方の傍にいられるんだ、ということが嬉しくて。

あの時『溜め息』の意味に気付いていたならば、


私は、きっとー。





安室さんについて。そしてお返事

拍手コメントお礼♪

こんにちは。
今日はすみません、風光ると関係ないことを少しだけ。。

以前の日記に書きましたが私は今新しい沼に落ちております。
それは
「安室透」沼。
名探偵コナンの最新映画、「ゼロの執行人」をご覧になった方はいるでしょうか?
観てなかったら、ほんと、ほんきで、みて..!!!
「あの映画を観て安室透に惚れない女はいない」という名言が出たほど安室さん格好いいです。
私はコナンくんは好きで毎週土曜日アニメも娘と一緒に楽しみに観ているのですが特に今まで安室さんスルーでした。
二年前の映画「純黒の悪夢」を観たときも特にはまらなかった。

なのに。
なのに今回は!!
見事に沼に落ちて映画、二回観に行きました(>_<)

でもね、ハマってしまってコナンくんの単行本も安室さんが出てる巻買ってみたりしてるんですが

あれ?漫画だと、なんか違う。。

いや、まあ謎も多い男ですし格好いいは格好いいのですが映画の安室さんの格好よさは格別でした。
まあとりあえず観てください。
「安室」「降谷」「バーボン」トリプルフェイスが全て楽しめると思います。

あ、でも私のナンバーワンは沖田先生で変わりはありません(*^^*)
安室さんとお付き合いしたいとは思わないけど沖田先生とはしたいもん(上から目線笑)

さてさて前雑記にも拍手やコメントありがとうございました!
風光る感想文。拍手を頂けたということは同じ気持ちの方もいらっしゃった、ということでしょうか(>_<)
感想って本当に人によって感じかた違うと思いますし、好きな作品であればあるほど自分の意見とか感想も強い思いがあると思いますし、なかなか難しいですよね。。

お返事も以下に書かせて頂くのですが、最近お話アップできていないので一つ。
去年の冬コミで無料配布したコピー本「溜め息」を掲載しますね。
手にとって読んでくださった方は本当にありがとうございました(*´∇`*)
「溜め息」は本編と「陽」「陰」の超短編が二つついている三部作です。
見所は何よりも表紙を描いてくれた、とらさんの絵。
表紙を描いてほしいとお願いした時に、とらさんにお話を全て読んでもらい全てお任せで描いてもらったのですが二人ともイメージしたのは「陰」の溜め息でした。
なので「陰」の最後にとらさんの表紙も載せておきますね。
原画も頂いたのですがほんっとうに色が美しい。

私の人生初のコピー本、とても思い入れの強い作品の一つです(*^^*)

それでは以下にお返事失礼しますね。

風光る感想文

風光るについて

今日はめずらしく本誌感想書きたいと思います。
私は感想苦手なのでブログで書くのは初めてかも。
読むひとにとって思うところ違うかもしれませんし今回の内容も「えっ私と思ってること全然ちがう!」ってなってしまうかもしれませんので本当に何を読んでも大丈夫、という方だけお進みください..(>_<)

前回拍手やコメントありがとうございました!お返事はすみません、次回に書かせて頂きますね。
それでは読んでくださる方は下のほうへ、、


ずーっと下のほうへ、、、、





















注:風光る単行本41巻までとflowers最新号読んだ前提で書かせて頂きますね。







今回はようやく沖田先生がセイちゃんがいる甲州鎮撫隊に追い付きました。
先生、舟が日野についたとしれたとたん走り出します。
(そんな力がどこに)
と驚くイマさんとK太郎さんを他所に無心に走り着いた先で「只今帰りました!」と笑顔の先生。
言い伝えでも有名な四股を踏んだりして元気なところをアピールするもセイちゃんの顔をみたとたんに倒れる沖田先生。
イマさんと銀ちゃんのナイスフォローをうけてついに
「総司のことを頼む」
と局長に言われてセイちゃんは沖田先生と残ることになりました。

良かったね、よかったね。ついに堂々と一緒にいれる時がきたね。
私は本当に嬉しくてこれ、外で読んでたんですが涙出そうになりました。

さて落ち着いて読み直して、あとTwitterでの皆さんの感想など見ていて。
ふむ。確かに色々と腑に落ちない点やモヤモヤポイントが多々あります。

まず土方さん、法眼からセイちゃんが女性だと言うことを聞いたとき沖田先生の元へセイちゃんを残すべきか悩み、結局連れていくことにしました。
近藤先生がセイちゃんを必要としているから。
近藤先生の為になることが総司の為だからセイちゃんを今ここに置いていくことは総司のためにはならない、と判断したから。

ほんとに?41巻お持ちのかた、はい165ページご覧になって。
(...そうか)(そうだった)
そういって溜め息つく副長。
男前の悩める姿はいいもんですね。

って!そうじゃなくて!!
この(そうだ)って何がそうなの?
総司の為にはセイちゃんを連れていくってこと?
この副長の真意がいまだに汲み取れなくて。
もしかして沖田先生が自らセイちゃんを望むなら考えてやらないこともない、と先生自身に勝負をかけたのかとも考えたんです。
それぐらいセイちゃんを必要としてるなら追いかけてこいや、くらいに。
でも今月号。
沖田先生が追い付いたとき副長本当に驚いてましたよね。
「お前、本当に総司か?」って。
だからまさか先生がここまで追いかけてくるほどの体力精神力が残っているとは法眼と話した時点では思っていなくて、もしかして副長は総司とは永久の別れだ、とも覚悟してたのではないかと。
だからますます副長の考えてることがわからなくて。

これがスッキリする日は来るのでしょうか?謎です。

あとは追いかけてきた沖田先生の心情ね。
イマさんは沖田先生がここまでする気持ちが「局長」 の為であれば自分がもう少し側にいようと思っていた。
でもそれは「局長」ではなく「神谷さん」だったから自分は身を引いた。


..なんて、なんていい子なんでしょう(T^T)ただし神谷さんのこと男だと思ってますけどね。

ここの沖田先生の心情。色んな意見や考え方があるんだと思いますが。
私は沖田先生。
局長の為に、と局長を御守りするために追いかけてきたのだと思います。
建前はね。
建前、というか自分ではそのつもり。
心の奥底で、自分でも気づかないところでは「神谷さんを守らなければ」という思いがあったと思いますよ。
その神谷さんへの思いが今回の原動力でしょう。
でも本人は気付いていない。
野暮天だから。
というか、心を滅しているから。
沖田先生は病気になってもどんなに弱ってしまっても武士です。
女の為に命を捨てる、だなんて思ってほしくない。
先生が命をかけるのは主君のためだけです。
だって武士だもの。
戦についていけないならば気持ちだけでもそう思っていなければ沖田総司、武士としては死ねません。
例え布団の上で命尽きようとも、沖田先生には絶対に最期まで武士として生きてほしい。
そういう思いもあって今回の沖田先生の心情。
近藤先生の為に追いかけてきた、と疑いもなく思っています。

あ、でもセイちゃんの為に、もあっていいのよ。心の一番奥でそう思っているからこそセイちゃんを目の前にしたときにホッとして倒れてしまったんだと思うから。
それでイマさんは沖田先生の気持ちに気づいたんだもの。
多分副長も気付いたのでは。
知らぬは本人たちばかり。

でも今回はそれでいいと思うんです。
今回は「男」として神谷さんを追ってきたわけではない。
「武士」としてここまで来たのだ、と沖田先生に誇りをもってほしいのです。

少女漫画としてはね。男として神谷さんを守りに来たってほうが素敵だし涙なんですけど。
私はやっぱり。。新撰組の沖田総司として、、みてしまう一面もあるのかもしれませんね。

来月からまた政治色強くなるのかな。沖セイようやく一緒にいれるようになったのにまた登場回数減りそうな予感笑
今回、ようやくここまできたか。という安心感と一気に最終回や沖田先生の最期に近づいた感も満載で。
手放しに喜べない感じです。
Twitterにも書いたけど今月号をひとことで表現すらならば「ずっと体調が悪くて何だろうと思って病院を転々としてたけどようやくハッキリとした病名が診断されてホッとしたような、やっぱりな、という絶望感」という心情です。

思ってることをつらつらと。
書いてしまいましたが意見が違うー!と気分を害された方がいらしたら本当に申し訳ないです。

私としては沖セイ、もちろん男女の仲として幸せになってほしいんですよ?
でも沖田先生にはただの男に成り下がってほしくない!
最期の最期まで、命の灯がスッと消えるその時まで「本物の武士」でいてほしいんです。そうじゃないと悲しすぎます。

ということで好き勝手に失礼いたしました!!


沼に落ちた。そしてお返事

拍手コメントお礼♪

こんにちは!なんだか左手首が腱鞘炎になっちゃってスマホを持っているのが辛いんですよねー。
けっしてスマホの見すぎでなったわけじゃない、、と思う。
最近重いものをもつことが多かったからです。はい。

このまえ念願のオタク会しました!
目的は「風を継ぐもの」を見るため!!
まる先生が風光るを描くきっかけになった舞台だということは皆さんもご存知なのではないでしょうか。
私は舞台って生でもテレビでも見るのははじめて。
何回か遊んでもらっているお馴染みAちゃん(東京新撰組ツアー参照)が「風を継ぐもの」のDVDを持っていて以前その話になったときに「見たい見たい!」と私が騒ぎBちゃんCちゃんと共に集合することになったのです。
でも娘のインフルエンザとか仕事の都合とか色々と重なって流れに流れて今回ようやく三度目の正直、と思ったら直前でCちゃんが来れなくなってしまい残念だけれど今回はAちゃんBちゃん私の3人でオタク会開催しました。
それも自宅で笑
DVD見るところってまあ、色々とあるんでしょうけど部屋借りるのも高いし「平日ならいいよー」と家に来てもらいました。
朝っぱらから集まっていざ視聴!!
舞台ってちょっと見てるこっちがこっぱずかしい..なんて慣れない私は最初そう思っていたのですが..

いい。
いいね!これ!!

見てるうちにだんだん引き込まれてしまって、最初は沖田総司のキャストもどうかなー?背が低くない?なんて思ってたらもう途中から(この沖田総司いい!沖田総司にしかみえない!!)
ってなりました。

台詞のひとつひとつも考えさせられるところもあったり、これが風光るの元になったのかぁと深読みするも最終回に対する答えは出ず。
でもとても面白かったです。
まだご覧になってない方がいらしたら是非見てほしいな、と思いました(*´∇`*)
観賞会のあとはお菓子ボリボリ食べながら新撰組トーク。
真のオタク、Aちゃんの新しい情報を聞きながら本誌をここ数回読んでいないという二人に私が押し付ける。
セイちゃんが「市村鉄之助ポジションではないか」という話はこのブログでも呟いたことはあると思うのですが今回は私が「もしかして島田かいポジションじゃない?」と突拍子もない案を出したら驚きすぎたBちゃん真っ白な可愛いスカートにお茶を溢しました。
Bちゃんはピスメが好きなので「島田かい」と言われてピスメに出てくるあのお握りみたいな(失礼)島田かいを頭に想像したようで、とてもセイたんと一致しなかった様子。
だってさ、だってさ、新撰組の歴史の中でも結構重要ポジションじゃない?島田かいって。
でも鉄之助くんと同様、全く登場しないってことは..セイたん..、??!
って思ったんですが鉄之助にしろ島田かいにしろ北上する立場なのであまりセイたんには同じ道は辿ってほしくないですね。
あーなんか、興奮して書いてたらまた左手が痛くなってきたからこの辺で。

そう、沼に落ちたってのは「安室沼」です。
コナンくんの映画観た方いるでしょうか。
安室さんが格好良すぎてドはまりして安室沼にただいま溺れております。
また明後日二回目、観に行く予定です(*´ω`*)

あと本誌についても今回は少し語りたいところがあるのでまたすぐに書きに戻ってくると思います。
お話アップできなくてごめんなさい(>_<)
pi◯ivさんにくだらないお話アップしてあるのでもしもご興味あれば覗いてやってください(*´∇`*)

それでは雑記や過去作品にも拍手ポチポチありがとうございました!
以下にお返事書かせていただきます(*^^*)

京都リベンジ。そしてお返事

新撰組について

一月に京都に行くはずが娘のインフルエンザで頓挫してしまったのでリベンジ。いってきましたよ!
今回は珍しくお友達家族と。普段新撰組関連以外はほとんど観光しない私にとって新鮮な旅行になりました。
ので新撰組関係ない写真も多めですがお付き合いしていただけると嬉しいです(*´∇`*)
一番下にお返事も失礼しております。遅くなってしまい申し訳ありませんでした(>_<)

まずは嵐山!トロッコ列車です。初めて乗った。
桜はもうほとんど終わりだったけれど眺めは綺麗でした。
そしてトロッコ列車の中では色々な事が起きます。
突然誰か歌い出したり、突然鬼が現れたり..笑
おじさまたち、頑張ってました(*^^*)

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なぜ嵐山に行ったかって?それは今回の大きな目的の一つ、リラックマ茶房に行くためです!
嵐山、ものすごい人でした。桜は終わりなのに。
食べ歩きできるものが多くて鎌倉の雰囲気と似ている。
お目当てのリラックマ茶房↓

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ものすごく混んでて入るの断念しました(T^T)自分の家族だけだったら絶対に待ってでも入ってた。。
残念なのでカフェの中庭にあったリラックマ石像だけパシャリ。

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お昼は洛内まで戻ってきて担々麺!お友達が教えてくれたお店です。
私が食べたのは『レモン担々麺』。
美味しかった!こんなに美味しい担々麺初めて食べた!
子供用は辛さ抜きにしてくれるらしく「あんしんだねー」なんて言ってたのに結局子供たちが食べたのは唐揚げと米でした笑

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時間が余ったので本当は次の日行くつもりだった西本願寺へお付き合いしてもらいました。
去年は時間なくて来れなかったから念願!
相変わらず広いなー。この日は誰か?(神様)のお誕生日だか命日だかで旗がいっぱい、人もいっぱい、賑わっていました。

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太鼓楼ね。もっと近くまで行きたかったよ。なんならベタベタ触りたかったよ。
あれでしょ、沖田先生が漸くセイちゃんへの恋心に気付いた新年、二人で御来光を見たあの思い出の太鼓楼..
お、思い出の..(ここですでに泣きそう)

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境内に入り突然走り出す私を冷ややかな目で見る家族たち。
そんなの気にせず私は走る。
そう、二人が登った『会瀬の木』を探すために..!!

あれか!?とパシャリとするも、あんなど真ん中の大きな御神木みたいな木に登るわけないじゃないか!私のバカバカ!
と頭をポカポカしつつ、私は走る。裏の方まで周り、漸く気付いた。
あれ?どの辺が屯所として使用していたんだっけ?

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スマホで調べつつ、えーと太鼓楼の近くにあった北側集会所。もう現物はないんですけどね。
うーん。地図が読めない私にはよくわからない。
どちらかというとこの辺の木の方が怪しいんじゃない?とパシャリ。
入れなかったけどね、うっすら上の方だけ見えるでしょ?
何もない場所を写真に納める挙動不審オタクに警備員らしきおじさんが不審の目を向ける。
オタクはそんなの、気にしない..(´・ω・`)

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お次は東寺!お友達が仏像好きっていうから着いていってみたら..
いいものですね!!
久しぶりに落ち着いて寺とか仏像とか見た。
邪な思想(?)でなく建築物や芸術を楽しむ旅行って久しぶり。
なんか、ずーっと座って一日中見ていたい、そんな癒される空間でした。

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ここで宗次郎くんの出番です。
ずっと行ってみたかった「二軒茶屋」。可愛いお店でした!一時間後に夕飯の予約が迫っていたにも関わらずたくさん食べる食べる。
ここの隣にある「中村楼」というお料理やさんは江戸時代から続いている由緒あるお店。
本当はそちらも行きたかったのですが高いし(敷居もお値段も)味も礼儀もわからぬ子どもを連れていくのは忍びないので今回は諦めました。

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二軒茶屋はこの豆腐田楽が有名なんですって。大人のお味!美味しかった。日本酒ほしい。

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2日目は早起きして一人、オタクツアーに出掛けました!
いや。一人ではないのです。
今回偶然にも同じ日程で京都にいらしていた「深海の森」のるーしぇさんと、Twitterでお世話になっているひづえさんにお付き合いしていただけたのです..!!
当日は朝から雨。
雨の中、朝食もまだだから、と食べ歩き用の飲み物とパンを買ってホントに雨の中食べ歩きしてくれた天使たちです..(T^T)京都駅に8時に待ち合わせ!まさに朝活!駅には戊辰戦争150年、ということでこんなパネルが。

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まずは駅近く。不動堂屯所跡と言われるリーガロイヤルホテルです。
駅前って聞いてたけど雨の中歩いたから?道が分からなかったから?けっこう歩いた気がする。

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京都での最後の屯所。大名屋敷並の大きな贅沢な造りだった、といわれていますが実際に住んだのはほんの少しだけ。沖田総司に至っては病床についていた時期だと思われるのでいい思い出はあんまりないのかな。
新築で建てられたのにすぐに取り壊されてしまったみたいですしね。
ここで雨が降りしきる中、るーしぇさん、感慨に耽りながらパンを食べる笑(別に耽っていない)

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お次は伊東先生最期の地、油小路です。
こちらは本光寺。境内には伊東先生が最期、寄りかかっていたという石があるそうですが流石に中には入れず。
伊東先生の最期って前にもブログで書きましたけど本当に謎。
あんなに頭がよくて腕も立つであろう伊東先生が、なぜ一人で近藤先生宅に行き、言われるがままの道を通り、一人で帰ったのでしょうか。
もしかしたら伊東先生は近藤先生を初め、新撰組のことを何も分かっていなかったのか。もしくは信じていたのか。
それとも芹沢先生のときのように新撰組側が上手いこと騙しきったのか。
私にとっては新撰組最大の謎の一つなのですが、何故かあまり世間では議論されていませんよね。
またいつか新しい歴史が発掘される日がくるのかな。
昔来たときは道端に小さな『油小路の変跡地』みたいな碑が建っていたと思ったのですがどこを探してもない。
ひづえさんも「あった」って言ってたし絶対にあるはず!
暫く探すもどこにもなかった。なくなっちゃったのかな?

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はい。お次はお馴染み、八木邸です。斜めにとってインスタ映えを意識してみました(インスタはやっていない笑)
何度来てもいいよねー!ここは。
それも今日はるーしぇさんとひづえさんという同士(勝手に同士)が一緒!
勿論中へ突入です。


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朝早かったのですがひっきりなしにお客さん来てました。男の人が多かった。
説明してくれる叔父様の話の殆どを「風光る」で勉強済みの私たち。
「だんだら羽織の意味は?」とか「不動堂屯所の跡地のホテルは?」とか(知ってる。答えたい)と思いながら誰も発言できないチキンです。途中でるーしぇさんが「あなたは新撰組で誰が好きなの?」と聞かれたときに絶対に三人とも(沖田先生に決まっとる)と同時に思ったはずですが「えっとぉ..」と何とか誤魔化した時はとても面白かったです。

屯所餅も何度食べても美味しい。そしてこの日はめちゃくちゃ寒かったので三人とも叔父様の話を聞きながら(早く抹茶が飲みたい)と思っていたようです。

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はい、お次はお隣の前川邸。
何故かいつも辿り着けない私。ホントにお隣でひびった笑
欲しいものはいっぱいでしたが私は沖田総司羊羮とテープを一つ買いました。るーしぇさんは「模擬刀がほしい」とじーっと見ていましたが横から「本物買えば?」とひづえさんに言われて「いや、捕まるから」とつっこまれていました。

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前川邸の見取り図。漫画家さんとか作家さんは取材と称して中まで入れる様子。
いいなーいいなー。当時の間取りとか見ると妄想膨らみますよねムフフ

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ここで早々とお二人と別れてまた家族たちと合流。
私が不在の間、和菓子作りをしていたそうな。あら楽しそう!
勝手な行動をする母のために可愛らしい和三盆を作ってとっておいてくれた愛しい娘です。

しかし!

一泊二日だと行きたいところの半分も行けません。
光縁寺もお参りしたかったし月真院にも行きたかった。
清水寺近くのわらび餅も食べたかったし入れなかったリラックマ茶房もうどん屋さんも並んででも入りたかった(>_<)
お友達と行くと新しい発見もあるし、美味しいお店とかも教えてもらえるし何より子どもは楽しそうだし。
良いこともたくさんですがオタクには消化不良。
やはり日帰りでいいから一度、一人で乗り込みたいものです。
次は絶対にすべてを回る!!

と決意した今回の旅行でした(*´ω`*)
朝早くから雨の中オタクツアーにお付き合いしてくださったるーしぇさんとひづえさんには本当に感謝です!
ありがとうございました(*´∇`*)今度はゆっくりお酒飲みたいなぁ。

遅くなりましたが「落花流水」や他雑記、過去作品にも拍手ポチポチありがとうございました!
以下にお返事書かせて頂きますね。

★☆落花流水 〈下〉

★☆落花流水

『神谷さん、約束ですよ』
そう言って柔らかく笑う貴方の笑顔が忘れられない。

なのにその『約束』を私は守れたのかどうか
それが分からない。

貴方の笑顔をもう一度見たくて
貴方との約束をきちんと守りたくて

私は何度もここへ通ったー。



※※
早く『夢』の続きを見たかったけれどあの日から雨が続いてしまった。
一応学校帰りに毎日境内まで昇ってみたけれど、一瞬瞳を閉じるだけでは『夢』は見れなかった。
このまま桜が全て散ってしまったらどうしよう。
そんな不安に応えるかのように『夢』を見てから三日目の午後、重い雨空の合間に一寸の青空が見えてセイは授業が終わるなり教室を飛び出した。

息を切らして境内まで昇りきると地面はまだ濡れていて、セイは鞄の中からタオルを取り出すといつも座る石段にそれを広げた。
その上に座るとじわりと雨水がスカートに染みてくるような気がしたけれど気にせずに鞄のなかからノートを取り出し瞳を閉じる。
殆ど散ってしまった桜の木からポツリと雨粒が落ちてきて、ノートとセイの髪を濡らした。


※※
「..みやさん、神谷さん、落ち着いて。話を聞いて。」
沖田先生が私をなだめるけれど、私は今まで我慢していた分の涙が全て出てきてしまったようで中々泣き止むことが出来なかった。
ぐずぐずとしゃくりあげる私が落ち着くのを先生はじっくり待ってくれて、その間まるで子どもをあやすように私の背中を撫で続けてくれた。
少し私の力が抜けて落ち着きを取り戻すと沖田先生は私を抱き締めたまま、そっと耳元で話始める。
「..神谷さん。忘れてほしいっていうのはね、別に今までの思い出を全て忘れなさいと言っているわけではないんですよ?」
私は未だに先生の言いたいことを汲み取れずにまた少し身体を強ばらせた。
それに気づいた先生がクスリと笑って私の髪を撫でる。
「..私も神谷さんと過ごした時間はとても大事な思い出ばかりです。いつまでも忘れません。でもね、これからは、その思い出にしがみつかないで..そうだな。その思い出を頼りにしっかりと、前を向いて生きていって欲しいんです。」
「..」
先生の伝えたいことを理解するのがなんとなく怖くて、私は沖田先生の袖にぎゅっとしがみつく。
「きっと、貴女のことだもの。これからも忙しく誰かの為に一生懸命働くと思うんです。その生活を第一に大事にして、いい意味で私とのことは忘れていってほしいなって..」
分かるかな、と沖田先生が困ったように笑う。
悔しいけれど、私には先生の言いたいことが痛いほどに分かってしまっていた。
私がさっき八幡さまで考えていたことと、全く同じことだったから。
きっと先程散ってしまった桜のように今は美しい花びらも、時間と共に色褪せてしまう。
そしてまた、来年には新しい美しい花びらが空一面を覆う。
思い出も、それと同じだろうか。
いや、違う。
思い出は時が経つほどに色鮮やかに輝いて、それは大切な思い出であればあるほど時に目を開けることさえ辛いくらいに、眩しく光輝く。
その光に向き合う辛さを、私は知っている。
きっと、沖田先生も知っているー。
だからこそ、そんな思いをさせたくない。
先生はそう考えているのだろう。


そうは思っても素直に返事が出来ない私はすがり付くように先生の胸元に額を擦り付ける。
そこは、私が大好きな沖田先生の香りがして、暖かくて、柔らかくて私の大好きな場所だ。
ここから離れなくてはいけないなんて、忘れるなんて、本当に私に出来るのだろうか。

「..神谷さん。忘れる代わりに、一つだけお願いがあるんです。」
私の気持ちに気付いているのかいないのか、沖田先生はそっと身体を離すと人差し指をピンと立てて微笑んだ。
「..何ですか?」
スンスンと鼻を鳴らしながら私が首を傾げる。
そんな私の子どものような姿にクスリと笑いながら沖田先生は私の両手をそっと握った。
「..毎年。」
「毎年?」
「そう。毎年、この季節には..桜の咲く時期にだけ。」
「桜の..?」
沖田先生がコクリと頷く。
「桜が咲く時期にだけ..私のことを思い出して欲しいんです。」
「....」
私は声が出なかった。
桜の咲く時期にだけ。
そんな一瞬の、短い間だけ思い出して欲しいだなんて、なんて悲しいことを言うのだろうと思ってしまった。
「..桜が咲きだしたら、今日私と市谷八幡様に行ったことを思い出してほしい。それが、お願いです。」
今度は沖田先生が子どものような可愛らしい顔で、少し恥ずかしそうに笑った。
思いの外その笑顔が眩しくて、たった一つの先生の願いを聞いてあげたくて、私は小さく頷く。
「良かった。」
私の首が縦に振られたのを見て先生は安心したように私をもう一度抱き寄せた。
その長い腕が、逞しい身体が少し震えているように感じて、もしかしたら先生は泣いているのかもしれない、と思ったけれど、先生の肩にポツリと雫が落ちて、泣いているのは自分なんだと気がついた。
「先生..でも、私。桜の時期以外にも先生のことばかり考えてしまうかもしれません」
私の言葉に先生が、ははは、と声に出して笑った。
「それは、だめ。」
溜め息混じりに先生が耳元で呟く。
「今までの思い出を、経験を無駄にしないためにも。貴女は前を向かなくてはいけないんですよ?」
沖田先生の言葉は、いつも正しい。
悔しいくらいに正論ばかりだ。
「それに..」
先生は身体を離すと私の両頬を大きな掌で包み込みながら指で涙を拭ってくれた。
「一年に一度、思い出す方が何だか素敵じゃないですか?大切な思い出なんだから。」
にこりと先生が微笑んで、親指で私の唇を撫でる。
口付けをされるのかと思って、私の心臓がドクンと大きな音をたてた。
でも、唇が重なることはなくてその代わりに先生は額を私の額にくっつけてきた。
「..神谷さん、約束ですよ?」
先生の熱い吐息が私の口元にかかる。
先生のごつごつとした指が私の涙を拭う。
私の頬を包む掌の上に自分の手を乗せて、私は大きく頷いた。
「一年に一度、必ず忘れないで。」
「..忘れません。忘れるわけありません。おばあちゃんになっても、例え生まれ変わっても、忘れません。」
私の言葉に先生が笑う。
「..そうですね。生まれ変わっても一つくらいの願い事なら覚えていられるかもしれない。」
「先生も、必ず覚えていてくださいね。」

生まれ変わっても、必ず。
桜の咲き誇る季節に、何度でも私は思い出してみせるー。


※※

セイが目を覚ますと止んでいた雨がポツリポツリと降りだしていた。
濡れちゃったな、と思いながら顔を触ると雨以外の雫がセイの頬を濡らしていて
(泣いていたんだ)
と漸く気が付いた。
今まで『夢』の中でどんなに泣いていても目が覚めると涙が溢れていることは一度もなかったのに。

もしかしたら今日が、これが、『夢』の最後なのかもしれない。

そう思うと寂しくて、やりきれなくて涙が次々と溢れてきてしまった。
我慢できない思いが溢れてセイはわんわんと声をあげて泣き出す。
セイの思いに同調するかのように、強い風が吹いて今年最後の花びらが雨と共に散った。


先生。
沖田先生。
私は覚えていますよ。
桜の咲き誇る季節に先生と訪れた市谷八幡にこうして通っているんですよ。


そう心の中で語りかけるけれど『夢』の中の沖田先生の顔はどんどん影にかくれて薄れていってしまう。
行かないで。
忘れたくない。
忘れてはいけないのにー。




「大丈夫ですか?」

雨粒が途切れて、代わりに優しい声が降ってきた。
セイは慌てて涙を拭いて声が聞こえた方を見上げる。
雨空の下、セイに傘を差し出す青年の顔を見た瞬間、もう全て散ってしまったと思っていた桜の花びらが空一面に舞っていく。


「沖田せんせえ..?」


今まで書き貯めたノートから、たくさんの文字がフワフワと空に溶けていくような気がした。
まるで二人の思いを空に返すかのように、ゆっくりと。
雨空の隙間から見える青空に、何度も夢で見た二人の顔が浮かぶ。

『ほらね。覚えていればいつかまた、出会うことができるでしょう?』


そう言って二人はとても幸せそうに、笑っていた。



ー終わりー

文体診断そしてお返事

拍手コメントお礼♪

「和風丁」の優月遊さんに教えていただいて「文体診断」なるものをネットでお遊び程度にやってみたのですが。。
なかなか面白い!
よく仕組みを理解しないまま遊んでしまったのでなんとも言えませんが文章を入力して「診断する」をポチとすると数々の作家さんの中から似た文体の方がでてきたり逆に全く違う文体の方が出てきたり文章の固さ、個性、表現力、読みやすさ、等を診断してくれます。

私は何度か以前の作品をコピペして診断してもらったところ「井上ひさし」先生の文体に似ている、とのこと。
でもすみません。私、井上ひさし先生の作品パッと思い浮かびません笑
多分読んだことあると思うんですけどね。有名な作家さんですし。

この結果を見て「好きな作品」と「書きたい作品」は違うのだなぁと思いました。
私がよく読む作家さんは司馬遼太郎先生、東野圭吾先生なんですが、ああいう固いしっかりとした文章。
私には絶対に書けません。
まずボキャブラリーが少ないですし頭も悪いですし笑
まぁプロの作家さんと比べること自体おこがましいことなんですが(^^;
でも「書けない」だけでなくて「書きたい」とも思わないんですよね。不思議。
あと魅力的だな、と思うのは島崎藤村、竹久夢二。
このお二人の作品はきちんと読んだことはないのですけど(文は読んだことあるけど解釈とかしっかりしたことはない)言葉の並びとか発音したときの柔らかさとか、美しくて憧れですね。
ああいう文章、勿論文体は現在のものしか書けませんがああいう雰囲気の文章、書いてみたいと思っています。


文章だけでなく、音楽や絵も好き嫌いあると思うので算数や数学と違って「これが正しい」というものはないと思っています。
でもやはりそのなかでも文章にしたら「読みやすさ」とか「感情移入しやすさ」とかが私の中では重要でそこに個性がつけばなおよし!
なかなか思うような文章を書けることはまだ少ないけれど私の書いたお話しを読んでホロリとしてくださったり笑ってくださったり、気分が動くことがあればそれはとても書いた甲斐があるなぁと嬉しくなります。
そんな感想を頂けた時は天にも昇る気持ちなのですよ(*´∇`*)
本当にいつもありがとうございます!

旅行記や過去作品にも拍手ポチポチ本当にありがとうございました。
以下にお返事書かせて頂きますね。



感動!函館旅行〈二日目〉

新撰組について

二日目は濃いです。気持ちが爆発寸前です。
語りすぎる可能性大ですのでご注意ください笑

まずは朝イチで土方さん最期の地。
歴史的にはどこかハッキリしていないようですね。碑が残っているのは一本木関門。市の施設の一角にあります。

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時に35歳。35歳...。
私とどれくらい違うかってそこはあえて突っ込みませんがまぁ同世代。
なんと言っていいのか。切ないです。

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市の方が管理してくださっているのでしょうか。お花は勿論飾ってある写真もお水も綺麗にされていて(土方さん愛されてるんだなぁ)と嬉しくなりました。今は大通りになっているこの道。150年前彼らはどんな気持ちでどんな思いで此処を歩いたのでしょうか。
土方さんは馬上で銃弾を浴びたとき、最期に何を思ったのでしょうか。
無念だったのか、安堵したのか。
よく「土方歳三は死に場所を探していた」と言われることが多いと思うのですがはたしてそうだったのか。
私は土方さんは最期まで、命途切れるその一瞬まで前を向いて必死に誠を尽くそうと思っていたのではないか、とやっと最近心から思えるようになりました。(『北走新選組』を読んだから)

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ここで娘を母に預けて今回の旅のメイン、碧血碑。
ちょうど行った時は天気もよくて普通の道路には雪も残っていなかったのですが、もしものときを考えて本気のゴアテックス靴を履いてきていました。
漸く活躍するときがやってきたようです。
碧血碑までの道のり↓(と本気のゴアテックス靴。可愛いデショ?)けっこう雪も残っていて雪解け水で山道ぐちゃぐちゃ。

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運動不足の身体にはキツイ山道をハアハア言いながら登っていくと見えてきた碑。
想像していたよりも大きい。
ちら、と見えただけでちょっと涙が出そう。。

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説明によると石碑は東京から運ばれたとのこと。
船で運んで、そしてこの山奥まで。
どんな気持ちではこんだのかな。
もっともっと目立つ所に堂々と祀りたかったのではないかな。
ただ『義に殉じた』だけでその『義』が他の『義』に負けてしまった、というだけで。
その後の扱いはこうも変わってしまうのだ、と考えると悲しくて仕方ありませんでした。
碑からの眺めは最高で函館市内から海の方まで綺麗に見えます。
とても静かな自然豊かな場所で、今となれば安らかに眠れる場所に碑を建ててもらって幸せだったのかな、とも思いました。

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↓こういう方もいたんだな、と嬉しくなりました。

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お次は称名寺です。

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函館戦争時、屯所があったのが称名寺なのですが現在は場所が変わっています。
でも境内には慰霊碑が建っています。

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ここにもお花がたくさん!土方さん、ここでも愛されてます。

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碑の隣にはこんなものも。中には新撰組ファンが訪れる際に記入できるノート、お線香などがありました。
私も風がビュービュー吹く中、なんとかお線香に火をつけお参りさせて頂きました。

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称名寺は元町地区の山の中腹にあるのですがそこからてくてく歩いて行くとなんとも眺めが綺麗でした!
函館って道がとても広いですね。車は少ないのに。
その坂道から眺める港は圧巻の眺めでした。
お天気も良かったし素敵な散歩を楽しみながら坂を下って次は屯所ホテル、『元町ホテル』。

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もともと称名寺があった場所なんですね。次は是非ここに泊まりたい(>_<)
泊まったら夢に土方さん出てきそう笑

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ここにもありました、誠自動販売機(笑)

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ここまで朝イチから回ってお昼過ぎには家族と合流できちゃいました。
やはり一人で行動できると効率がいい!
もしも一人で旅するなら昨日の五稜郭から今日の屯所ホテルまでの道のり、1日あれば軽く回れると思いますよ。

さてここからは新撰組関係なく函館観光。
まず本日のランチ、あさり本店のすき焼きランチ!(上)
母と娘が先に11時40分頃お店に着いていたんですがその時点で予約で席は殆ど一杯。ギリギリ空いててお席に通してくださったようです。月曜日ですよー!そんなに混んでるんだ!
このボリュームで1400円だったかな?消費税込み、サービス料金なし、の素晴らしい料金設定に母と感動しました。
下は函館ビール。娘が疲れきっていたのでお店で買ってきてホテルで飲みました(^^;
娘と旅行に行くとホテルにいる時間がものすごく長い笑

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夕方力を振り絞って函館山へ!ロープウェイ乗り場までは一キロもなかったのですがグッタリ愚図る娘を途中までおんぶしてきたもののあまりの坂道にすぐに断念。
タクシー捕まえて行きました。
函館山、私が子どもの頃登った覚えがあるけれどこんなに混んでいなかった!!
ちょうど夕焼けと夜景、両方見れる時間だったので一番混んでいるだろう時間とはいえ、、ディズニーランド並の行列!!
夜景も綺麗でしたが人混みのほうにビックリしました(>_<)

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そのあと行った「五島軒」。
たくさんスプーンフォークナイフ、と並べられて娘も楽しそう。
お子様ランチってお得で色んなもの食べられていいよねーって話してたら私の頼んだもの(上)もそんなにかわりなかった笑
言うならば大人向けお子様ランチ。

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三日目はのんびりして、何故かもう一度五稜郭行って無事に帰ってきました(*^^*)
たくさんお土産買ったのですがお勧めお土産三つ↓
歳三饅頭と歳三ワイン、そして歳三キャンディーです!
さて、どこから舐める?笑

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今回の二泊三日。どのくらいの時間でどれだけ回れるか予想がつかなかったのでのんびりツアーになりましたが大人だけで、フットワーク軽い方だけで訪れるなら
一日目→五稜郭周辺、土方歳三最期の地
二日目→江差(海陽丸があるところ。函館市内から二時間くらいかかる。)
三日目→市内中心部(碧血碑→称名寺→元町ホテル等)
で十分回れると思います。
二日目江差行けたなーって今でも後悔。
次は是非とも行きたいなー!


さて、函館。
とても熱い街でした。
日野とも京都とも違う魅力。
函館は言ってみれば「土方一色」で愛に溢れていました。
よく聞く話で北上してからの土方さんは京都で「鬼」と呼ばれていたとは思えないほど穏やかで愛情深く隊士たちに慕われていた、というものがあります。
京都での鬼っぷりの土方さん、北海道での母親的な土方さん。
どちらが本物の土方さんだったのでしょうか。
どんな思いで自分自身の変化を辿ったのか。
それは今となっては想像しかできませんが(もしかしたら何も変わっていないのかもしれないし)どちらにしても土方さんは京都に上ってから北海道で最期を迎えるまで全くぶれることのない「誠」を胸に刻んでいたのではないかな。

仲間との別れを何度も乗り越えて最期に一人残ってしまった土方さん。
いわゆる大人になってから知り合った「仕事仲間」とは違い近藤さんや沖田総司、試衛館の仲間たちとの別れ、特に死別は家族との別れと同じくらい、もしかしたらそれ以上に辛く苦しいものだったのではないでしょうか。
それでも志半ばで倒れていった仲間たちの為に最期まで、自分自身の為に、そして日本の為に。
彼は最期の一瞬まで全力で自身の誠を見せつけたのだと思います。

改めて思いましたが、、

土方歳三、格好いい!!!


以上、現場からお伝えしました(*´∇`*)

念願!函館旅行〈一日目〉

新撰組について

行って来ましたよー、念願の函館!新撰組を好きになってから訪れるのは初。
寒いかな?雪は大丈夫かな?色々と心配しつつ..
函館空港では名物、イカが出迎えてくれました。
イカ嫌いの娘は主役のイカ君ではなく太陽さんから顔を出しています。
今回の旅は私と娘と母の親子三代女子旅です。
二泊三日のけっこうのんびりツアー。写真多めですがお付き合いしてくださると嬉しいです(*^^*)
あ、遅くなってしまいましたが追記にお返事も失礼しております(>_<)

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まず始めに訪れたのは『土方啄木浪漫館』。
土方さんと石川啄木。何も接点ないよね。
なんか、なんとなくまとめちゃったんでしょうね。
記念スタンプの「武士を越えた義士」って言葉が胸に響きます。

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朝10時前には着いたんだけど結構次々とお客さん来てましたよ。
資料展示物は撮影不可だったのですが結構見応えありました。
すぐ横が海なんですが海陽丸をイメージした展示一角があって、そこに船の丸窓がついてるんですがそこから海が見えて本当に船に乗ってるみたいで何だか素敵でした。
展示はね、一緒に行った母が「隣で見てたおばさん泣いてたよ」って教えてくれたんですが。

わかる。
すごいわかる!!

私この函館旅行とても楽しみにしていて大好きな沖田総司とは殆ど関係ないし土方さんしか縁の地ではないんですが。
この函館。
函館戦争が終焉した土地。
ということは、土方さんの最期の地。
ということは、新撰組、最期の地。

分かっていました。分かってて来たんですがこの浪漫館はね、すごくその事を再認識させられた、というか。
私も泣きそうになりました。
マニアックなファンこそ楽しめそうな(泣けそうな)この場所。多分資料館自体も古いので情報とかもけっこう古いのかな?という感じもありましたが是非とも新撰組ファンには訪れてほしい場所だなと思いました。ハンカチ必須で。

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↓浪漫館の外にあった誠自動販売機笑
土方サイダーは売ってなかった。

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函館グルメ一食目は五稜郭へ移動して、ラッキーピエロさんのハンバーガー!ちなみに今回の旅の『食』については『深海の森』の碧ーしぇ様に事前に教えていただいた情報まるのみしております(笑)
後でラーメンも食べる予定だったから三人で二つのハンバーガーを分ける。美味しかった。そして店の雰囲気が独特すぎて緊張した笑

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そして五稜郭タワー!!いつの間にかいい天気(*´∇`*)

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上から星形もバッチリ見えました!どうやって測量したんだろうねーと母と暫し語る。

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タワー内にあったジオラマの土方さんの顔が結構リアルでどれが土方さんかすぐに分かったのがすごい。
ジオラマ①↓海陽丸が沈没して意気消沈する土方氏。せ、切ない..立っているのもやっとな感じがよく表れています。。

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ジオラマ②↓これは格好いい土方さん。娘も「すてき」とお気に入りでした。

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タワー一階にいる土方さんのブロンズ像。五稜郭の土方さんは全体的におでこが広い。
そしてなんだか老けている。
函館戦争が大変すぎて心労がたたって一気に老け込んじゃったのかしら。。
Twitterに写真を上げたときに「月と風のささやき」管理人さんのrunaさんが「私の知っている土方さんではない」と仰っていたのが「まさに!笑」で印象的でした。

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お次は箱館奉行所。なんでここだけ漢字が「箱館」なんだろう?
外観工事中だったのかな、ちょっと白い幕が情けない感じです。

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72畳の大広間。一番奥は重役三役しか入れなかったそうな。土方氏は入ったのでしょうか(その辺詳しくない笑)

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ここまで回ってお次のグルメ「あじさい」のラーメン!ハーフサイズがあるのが嬉しいですね(*^^*)
これまた三人で塩と醤油のハーフサイズを分けて食べる。
14時頃だったのに大行列でした!さっぱりだけどしっかり味で美味しかった(о´∀`о)函館ラーメンというものには「お麩」が入ってるんですね。これが味が染み込んで美味しかった。

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疲れきった私たちはホテルへ。赤レンガの近くのホテルだったのでちょっと休んでお散歩。
何だか同じとこグルグル回って余計に疲れた笑

ホテルは私は本当は屯所ホテルである「元町ホテル」か湯の川温泉の赤湯ホテルに泊まりたかったのですが母の希望で「函館ラビスタベイホテル」。朝食が豪華で有名なんですって!
↓これがそのバイキング一部。ホントに豪華!!

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二日目はまだまだオタク散歩続きます。お付き合いしてくださると嬉しいです(*´∇`*)

★☆落花流水 〈中〉

★☆落花流水

※※
私は町に出て駕籠を呼び止めた。
本当はまだ迷っていたけれど沖田先生のあんな顔を見せられたらどうしても連れていってあげたかった。
千駄ヶ谷で療養に入ってから沖田先生は我が儘一つ言わずに頑張って病気と戦っていたし今回が初めての先生の我が儘だったから。
たかが桜を見に行くだけなのに、それを『我が儘』と捉えてしまう私自身の考えも嫌だったけれど。

「沖田先生、駕籠を呼んできましたよ」
「ありがとう」
春だというのに着物や羽織をたくさん着こんで駕籠へ乗り込むその足元は、ついこの間まで京の町を走り回ってきた人物と同じとはとても思えないほどおぼつかない。
私はさりげなく沖田先生の身体を支えて駕籠へ乗り込む手伝いをした。

市谷八幡までは一里もない距離で私の足に合わせて歩いても半刻もかからないほどだった。
八幡様の境内に入るには長い石段を昇らなくてはならない。
駕籠の青年たちに頼んで何とか石段の上まで昇ってもらい、やっとのことで境内に辿り着いて沖田先生を駕籠から降ろすと
「わぁ、綺麗ですね!」
沖田先生がまるで子どものような声をあげた。
石段を昇るのに必死で今まで上を見ていなかった私もその視界一面の桜を見て歓声をあげた。
「わぁ!本当に綺麗!まるで桜の空みたい!」
「貴女もなかなか風流ですね」
私の言葉に沖田先生がクスクスと笑う。
「あ、馬鹿にしてますね?」
「そんなことありませんよ」
いつまでもクスクスと楽しそうに笑う沖田先生の腕を私は、もう、とつつく。
こんな風に笑い合うのはいつぶりだろうか。
そのまま腕を支えるようにして境内の真ん中辺りにある狛犬の所まで二人で歩いていった。
「この狛犬..」
「ああ、貴女が私の事を踏み台にして登った狛犬ですよね」
「踏み台って..!まだ根にもってたんですか!」
私が呆れたような声を出すと、私は執念深いんです、と沖田先生が得意気に胸を張った。
その拍子にコホンと小さな咳が漏れて私の胸がズキンと痛む。
今だけは、病気のことも辛いことも何もかも忘れてこの暖かな幸せな一時を噛み締めていたかった。
その思いは沖田先生も同じだったのだろうか。
一瞬私たちの間に緊迫した空気が流れたけれど、それを絶ちきるかのように先生が私の髪を撫でた。
「なんですか?」
元の柔らかい空気に戻って私がホッとしたような声で聞くと
「花びら」
ホラ、と薄紅色の花びらを私に渡す先生。
「..きれい」
今はこんなにも美しい色をしているこの花びらも時と共に色褪せ、枯れていってしまうのだろうか。
口に出した言葉とは裏腹に、私がそんなことを考えているとは沖田先生は思ってはいないだろう。
沖田先生の中の『私』は純粋で、真っ直ぐで、前向きな、初めて出会った十五の頃の『私』のままなのだと思う。

「帰りましょうか」
四半時もしないうちに先生が呟いた。
「え、もうよろしいんですか?」
体調が良くないのかな、と思い不安気に先生の顔を覗きこむと私の心配とは他所に先生の顔はスッキリとしていて
「貴女ともう一度ここに来れて良かったなぁ」
と一人言のように満足そうに呟いた。

境内で待っててもらった駕籠に乗り込み千駄ヶ谷まで戻ると沖田先生は流石に疲れたのか、食事も取らずに布団の中へ潜り込んだ。
時折小さく咳をしながら中々ぐっすりと眠りにつけない先生の背中を私は優しくさする。
少し熱が上がってきたのだろうか。
その頬に赤みがさしてきて、私は手拭いを濡らしてこようと腰を上げた。
「行かないで」
その時先生が私の腕をつかんだので私はもう一度先生の方に向き直り座る。
こういう時は冷たい手拭いよりも何よりも先生の傍にいてあげることが何より先生の為になると思っていたし私もできるだけ傍にいたかった。
「沖田先生、桜綺麗でしたね」
先生の額に汗で張り付く前髪を退かすように髪を撫でながら私が話しかけると沖田先生は子どものような顔で笑いながら頷いた。
あんな風に沖田先生と出掛けられるなんて、ましてや思い出の場所に桜を見に行けるなんて夢にも思わなかった。
沖田先生の身体は心配だけれど、本当に行けて良かった。
「..先生。連れて行ってくださってありがとうございました」
私が微笑むと先生がそっと私の頬を撫でた。
気付かないうちに私は泣いていたらしい。
「..神谷さん」
「はい?」
「..私が。..私がいなくなったら私の事は忘れてくださいね」
「..え..?」
予想もしていなかった先生の言葉に私の身体が固まる。
私の緊張を感じ取った先生が慌てて、違うんです、と首を振った。
「え、と。言い方が悪かったかな。難しいな。なんていうか..これからは、貴女には貴女の人生を歩んでほしいんです」
「な、んでそんなことを..」
あまりの動揺に私はうまく言葉を紡げない。
手足の先がひんやりと冷たくなって身体が震えている気がする。
「忘れるなんて、嫌です、私は沖田先生のことを忘れたくなんてありません..」
必死に気持ちを訴えるけれど声が震えて小さな声しか出せなかった。
「神谷さん、落ち着いて」
そんな私の震える手を優しく擦りながら先生が微笑む。
「いやです、そんな話なら聞きたくありません!」
落ち着くことなんてできずに私は先生の手を振り払ってその場を離れようとするけれど思いの外、先生の力が強くて手を振り払うことが出来なかった。
沖田先生が起き上がって私の震える身体を抱き締める。
熱で熱くなっている身体からは想像もできないくらいの強い力で抱きすくめられて私は驚いた。
沖田先生にそんな力が残っているなんて思ってもみなかった。
いつの間にか。
沖田先生は私を抱き締める力も、引き留める力さえもなくなってしまっていると思い込んでいて。
いつかは別れの時が来る、なんてとっくに覚悟していたはずなのに。
いざ沖田先生の口からそんなことを言われると、こんなにも恐ろしくて辛いだなんて思いもしなかった。
私はこんなにも、弱い。

先生の前では出来るだけ泣かないように、と努めてきたのに今回ばかりは涙が止まらない。
沖田先生が困った顔をして私の涙を拭おうと手を差しのべる。
けれどそれは私の頬を掠めずに、沖田先生の顔がぼんやりと遠ざかる。

ああ、目が覚めてしまう。
駄目だ。今は、だめ。
こんな時に目覚めては駄目。


※※

必死に朧気になる沖田先生に手を伸ばすけれど、その願いは叶わず次に気がついたときには『夢』は終わってしまっていた。

セイが現実にすぐに帰れずにぼんやりと座っていると空からポツリと雨粒が落ちてきた。
ポツリポツリとどんどん雨足が強くなってきて、セイの制服の白いシャツに染みを作っていく。
セイは膝の上で開いていたノートを閉じて鞄にしまうと、その鞄を傘がわりに頭に被って家へ帰っていった。

モヤモヤとしたものが胸に残っていたけれど、涙は溢れていなかった。





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